このぽかぽか陽気は信じられる
父親に彼氏との結婚を考えている旨伝えた。
駅前の寿司屋。
白ワイン。
ほんとは飲みたくなかった。けど、酔いなしに父親とかれぴっぴの話なんてできない。
「その相手で良いと決めてるの?」
あまり良くない例えだけれど、結婚と買い物は似てるんじゃないか。
私は買い物が下手だ。よく後悔する。買ったのに着なかった服、もりもりある。でも最近はそんな失敗も減ってきた。ひとつ、買い物のコツを覚えた。
それは欲しいものを見て、心の中にモヤモヤが浮かぶかどうか。
「わーめっちゃこれホシイ。でも、よくわかんないけどなんかモヤモヤする…」
そのモヤモヤにはっきりとした根拠がなくてもあっても、そういう時は買うと大抵後悔する。
このことに気づいてからは失敗がほぼ無くなった。
彼との結婚。
私は、心が広くて、博識で、読書家で図書館のにおいがするような男性と出会いたかった。なにを聞いても答えてくれる、大学教授みたいな人が理想だった。
彼氏は小学3年生のやんちゃな男子がそのままおおきくなったような人だ。元ギャル男。本なんか読まない。国語が苦手で坊っちゃんのことをぼくちんと言っていた。
そんな彼との結婚を想像する。 快晴だ。 ぽかぽか陽気だ。 雲とか無い。 だから、だいじょうぶなんじゃね。
とはいえ、白ワイン飲んでも、そんなかれぴっぴへの想いは父親には言えなかった。 「その人が良いの?」「…ウム…」